教授挨拶

あらゆる角度からILC2を見つめ理解する

Moro Labホームページにようこそ。茂呂和世です。私達の研究室では、2型自然リンパ球(ILC2)の研究を行っています。ILC2は私が大学院生の時に思いがけず同定した新しいリンパ球です。当時、私を含め多くの人がそれほど重要な細胞だとは思っていませんでしたが、解析が進むにつれ、この細胞が2型サイトカインを産生することで、寄生虫感染防御や多様な2型免疫疾患で重要な役割をすることが明らかになり、世界中から注目される細胞になりました。当研究室では、ILC2を理解し、ILC2が原因となる疾患を治すために、ILC2の分化機構、活性化機構、抑制機構、転写制御機構など、多様な基礎研究を行っています。また、疾患モデルマウスや患者検体を用いた様々な病気の発症機構の解明にも挑んでおり、ILC2の基礎的な研究からILC2をターゲットとした創薬開発まで多方向から研究を行っています。

歴史を変えるような研究をめざして

学生にはそれぞれのレベルに応じた最適な環境を提供し、研究員・教員には高いレベルでの研究を求めます。研究場所は各人の希望に合わせて、大阪大学大学院医学系研究科または、理化学研究所生命医科学研究センターでの実施が可能ですが、ミーティングやイベントは常にWebを介した合同の形式で行われます。また、大阪大学での所属先としては医学系研究科だけでなく、兼任先であるiFReC(免疫学フロンティア研究センター)および大学院生命機能研究科を選択することも可能です。研究内容はおもしろければ基本的には何をやっても自由です。すでに教科書に書いてあることを発展させるような研究ではなく、教科書に新しい章を作れるような研究を目指してほしいと思います。予想通りの研究はあまり面白くありません。斬新なアイディアで免疫の常識を変えるような発見をすることが目標です。研究は成果だけでなく、プロセスを味わい楽しむことも重要です。趣味として研究を行い、結果的に実益として社会に還元できるような研究が理想です。

1+1は2より大なり

人と人のつながりを大事にすることで、1人では乗り越えられない壁を互いに協力し乗り越えて行けることが当研究室の強みです。研究はどんなに頑張ってもうまく進まない時期と、坂を転げるように解析が進む時期の繰り返しです。つらい時期を乗り越えるためには仲間の協力が必須です。希薄な人間関係が社会問題になっていますが、当研究室では日常・イベントを通してメンバー同士が深いつながりを持つことで1人では発揮できないパワーを出せることを大事にします。また、メンバーの個性をつぶさないラボであることも私が大事にすることです。個性と協調は相反するもののイメージがありますが、日常的には個性を大事にし、ラボが一丸となって取りかかるべきときには協調することで大きな力を発揮できると考えています。